私を狂わす一つの短編〜むかし、爆弾がおちてきて〜

何だこの意味不明タイトルはという皆様からのお叱りを食らいそうなこのエントリですが、正直な話本当なので勘弁してください。このだらだら日記に目を通してくださっている方なら大方予想がついていると思いますが、昨日のこのエントリこのエントリに関連しています。

以下は盛大なネタバレの嵐なので、読みたいという方は「続きを読む」でどうぞ。


この短編がどうして私にとってそれほどまでの衝撃となったのか。瑣末な理由を挙げれば本当にキリがありませんが(頑張れば本だって書けそうな気がします)、頑張って一言に押し込めるとこうなります。

あらん限りの希望が摘み取られている

はっきり言って、この一言で「むかし、爆弾がおちてきて」を表現できているとは到底思えません。わずか22ページの短編にもかかわらず、この作品には人をおかしくするぐらいの破壊力があります。これこそ私にとっての爆弾といっても過言ではありません。

「この世でもっとも辛い別れとは何か?」と言われれば、私はためらいなくこの短編を答えにします。なぜか。

目の前にいるのに声をかけられない。こちらから相手を見ても向こうは自分のことが見えない。向こうはほとんど時が止まっているのに、こちらの時はどんどん過ぎてゆく。自分が先に死んでも、相手が生き続けている以上、魂としての再会もありえない。何より、自分だけが助かってしまったという罪悪感。

真っ平らな爆心地の真ん中に一人立っている少女を見たとき、主人公の祖父はどのような思いに駆られたでしょうか。想像するだけで胸が鋼鉄線か何かで締め上げられる思いがします。

この別れは、希望が無いのです。「死ねばすべての苦しみや絶望から解放される」と言われますが、この別れは人間の最終手段である「死」すら無力化します。なぜなら、相手は間違いなく生きているからです。自分がこの世に絶望して死を選ぼうとも、相手はそれを知ることもなく、魂としての再会もあり得ないからです。

私はこのあまりの絶望に衝撃を受けました。死んでも相手に声すらかけられない。自分は目の前の相手が見えているのに、相手はそれに気付かない。あらゆる努力は無駄。この絶望、そんじょそこらの「別れ」ではあり得ません。「別れ」は概して辛いものですが、この「別れ」は「辛さ」を通り越して心を狂わせるほどのものがあります。それほどまでに絶望的なのです。

「この程度で衝撃とは笑わせるぜ」という声もあるかと思います。私の絶対的な読書量の無さも一因となっているかと思います。ただ一つ言いたいのは、今の私にとってこの話は、あまりに衝撃的だったという事実だけです。

えー、いつにも増して自己満足オーラが漂いまくっているエントリですが、もしここまで読んでくださった方がおりましたら感謝します。そして、もうちょっと読んでてためになるようなエントリを書くよう務めますから、どうか見捨てないでください(切実

大体の感情は吐き出せたので、これでおしまいにします。しかし、食わず嫌いってホント良くないですね。反省します。

追記



↑勢いあまって突撃したの図

[54] 衝撃とはこの事ですね 投稿者:586 投稿日:2005/10/29(Sat) 00:00:02

初めまして。586という者です。

友人に勧められるまま「ある日、爆弾がおちてきて」を読み、「面白いなあ」と思って買い、最後の「むかし、爆弾がおちてきて」で人生でも最大級のショックを受けました。

何から話せば良いのか分かりません。わずか22ページ(挿絵を除くと21ページ)の短い話の中に、「世界でもっとも残酷な別れ方」が凝縮されているような衝撃を受けました。

目の前にいるのに声をかけられない。こちらから相手を見ても向こうは自分のことが見えない。向こうはほとんど時が止まっているのに、こちらの時はどんどん過ぎてゆく。自分が先に死んでも、相手が生き続けている以上、魂としての再会もありえない。何より、自分だけが助かってしまったという罪悪感。

すみません。興奮しすぎて何を書いているのかちょっと分からなくなってしまいました。失礼があったなら申し訳ありません。

とにかく、私にとっての「むかし、爆弾がおちてきて」(このタイトルがまた切なさを掻き立ててくれます)は、人生の中でも最大級のショックであり、出会えたことそのものが幸せであるということを伝えたいです。読了してから二日になりますが、今でも胸が締め付けられる感覚が止まりません。

つたない言葉の連続ですが、以上をもって感想とかえさせていただきます。本当にありがとうございました。

追記の追記



↑返信きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(素)の図

フルハシ > どうもどうも。「感動する(させる)力」みたいなものは、本とか作者より、むしろ読む人の中にあるのだと思います。だもんで、喜んでもらえると、こちらとしてもありがたいことだなあと、ハイ。 (2005/10/29(Sat) 22:23:56)