「みずたまホットライン」・その2

昨日銀さんから「後半部分が少し急ぎすぎ」という確かにそうだとしか言いようが無い指摘をもらったので、思い切って第二版を出すことにしました。いくつかのシーンを追加したほか、見つかった分の誤植なども直してあります。

第二版を書いてみて思ったのは「やっぱりここはこうした方がしっくり来るな」というシーンばっかりだったことです。第一版は例の「最後に少し(ry」という一言を猛烈に書きたいゆえにヘンに急ぎました。この場を借りてお詫びします。でも書きたかったんだもん(だまれ

自分で書き上げた作品について語るというのは実は初めてなので、テンションがかなりおかしくなっている部分もあると思います。見苦しい部分が多いと思いますので、読みたいという奇特な方はいつもどおり「続きを読む」でどうぞ。

「みずたま」と「Enable」

まず、この「みずたまホットライン」と私が現在必死になって書いている「Enable」が、作品として見たときの特徴について挙げてみます。

Enable
  • 三人称*1
  • シリアスな感じがする
  • 文体が非常に固い
  • 長編
  • 原則として「ポケットモンスター」の世界観が下地にある必要がある
みずたまホットライン
  • 一人称
  • ライトな感じがする
  • 文体が非常に柔らかい
  • 短編*2
  • ポケットモンスター」の世界観が下地に無くても、書こうと思えば同じような話は書ける

29日に書いたとおり、「Enable」と「みずたま」はほとんどすべての要素において対極に位置しています。なぜこんな作品が出来上がったのか、自分でも不思議なくらいです。

この作品を書こうと思ったきっかけ

まー、このだらだら日記を読んでいただいている方なら、この後に私が何を言うかは大体想像できると思うのですがあえて言うと、直接的なきっかけは

です。簡単に言うと、ハイレベルすぎるライトノベルを読んでしまったことで、「自分も一つライトなものを書きたいなあ」という欲求が生じたからに他なりません。

結論から言うと、書いてて恐ろしく新鮮で、なおかつ非常に楽しんで書くことが出来ました。いや、「Enable」が楽しくないというわけではなくてむしろ楽しいんですが、その楽しさとは違う楽しさを味わえたというか、一人称でしか出来ないことも多いなという感覚を味わえました。貴重です。これ。

執筆について

「みずたま」のアイデアは、29日の朝、バイト中に唐突に生まれました。「人間の心をポケモンに閉じ込めたら、どうなるだろうか?」というどうでもいい発想からどんどんストーリーが飛躍していき、

  • 主人公は高校生の少年にしよう
  • ポケモンは「デジタルペット」ということにしよう
  • 少年の下に小包が送られてきて、中身はポケモンということにしよう
  • そのポケモンの正体は、仲良しだった幼馴染にしよう

というところがあっという間に決まり、さらに

  • 直接会話するよりも、「電話」を通した会話にしよう
  • 二人は「電話」によってつながっていることにしよう
  • とりあえずラストはハッピーエンドにしよう
  • 思い出の品を何か出そう
  • ちょっとこそばゆいぐらいのセリフがちょうどいいだろう
  • 幼馴染は一途ないい子にしよう

という辺りが30分ぐらいで決まりました。こうなるともう執筆モードが滝(小規模)の私です。止めたくても止まりません。

  • 幼馴染は主人公に正体がばれないようにと、自分の好きじゃないことをわざとさせるようにしよう
  • 電話されてるのを見られるとまずいから、「電話にトラウマがある」という嘘をつかせよう
  • 昔から病気がちで、肉体はもうすでに死んでいることにしよう
  • とりあえず「ポッキー」を出そう

云々かんぬん、とにかくすごい勢いで設定があふれ出てきました。「Enable」の背景設定を考えているときにも同じような感覚を覚えましたが、今回のは特にすごかったです。

で、バイトから帰ってきて忘れないうちに思いついた設定を片っ端からメモし、執筆開始。バイト疲れもあって土曜日には原稿用紙20枚相当分(ファイルサイズで12KB程度)しか書けませんでしたが、その頃にはもうすでに脳内では二人がポッキーを食べるところまできっちり話が進んでいたのですから、これはもうまさに変態としか言いようがありません。変態変態。

ちなみに、この段階ではあろうことかマサポケの同人誌にコレを載せるぞという持ってはいけない熱意を燃やしていました。結局コレは本に載せたら長すぎて(改訂版はあろうことか100枚を超えました)他の人から120%苦情が来るという極めて適切な脳内判断の末、却下になりましたが。

明けて日曜日。昨日のうちに用事を済ませておいて、さぁ今日は一日がかりで執筆するぞ、ってな具合で執筆を開始したら本当に丸々一日使ってしまったのですから、他の人からなんだこのネット廃人はなどと言われても反論の余地がありません。昼からは友人(id:solomon)も呼び、小説談義に浸りながら小説を書くという不健康路線まっしぐらな一日を過ごしました。

日曜日の夜。昼に思いのほか話が進んだので、夜に友人をチャットに呼び出し、作品を見せてみました。で、なかなかの評価をもらったので、じゃあこの勢いでマサポケの練習板にも投稿しようぜということになり、昨日の投稿に相成ったわけです。

そして今日。銀さんの指摘を受けていくつかのシーンを加筆・追加し、私としても納得のいくものに仕上がったので、練習板に「第二版」を投稿しました。未読の方は、お暇なら目を通していただけると幸いです。

タイトルの由来

単純です。二人をつなぐ電話代わりだったアクアリルの尻尾が「みずたま」で、それを使った「ホットライン」という意味です。なんかこのタイトルふわふわ感満載で、妙に気に入っています。

皆様から頂いた感想など

銀さんはコメントでお返事したので、チャットなどでもらった感想にこの場を借りてお返事を書かせていただきます。

せんさん

「なんかすごかった。本とかに載ってそうな話っていったらこんな感じなんだろうなって」

い、いいんですか?! 締めくくりが「……最後は少し、冷たかった」とかなんですよ?!(錯乱

えー、身に余る感想を頂き、本当に嬉しく思っております。本にすることはできなさそうですが、せめて「窓の中の物語」にこのテキストを読み込ませることで、見た目だけでも本風にして読んでいただければ幸いです。

ミクロさん

「読んだ感じとしては、やはり私と方向性が似ていて、名前は1.48倍くらいな感じだけど実質はもっと大きい数字倍じゃないか! と思うような作品ですね」

そんなそんな!むしろ数字分の一倍が正しいですよ!(いささか減り過ぎ感は否めない

いろんな意味で問題作(というほどでもない)の「みずたまホットライン」。お読みいただいた感想など下されば多分それだけで一個エントリを起こしかねないので、お時間のある方はぜひお読みください。

*1:技法として一人称を組み込んだ部分はあります。

*2:短編にしては原稿用紙100枚を超えている(改訂したらそうなりました)ので、いささか長いですが。