食わず嫌いは損をするの巻・その2

ああああああああああ!(586の こうげきは まだ つづいている

はぁ、はぁ……さて、ひとしきり叫んだところで、何がおもしろかったかをつらつらと並べていくことにします。

586は今まで「一人称」型の小説というものが今ひとつ肌に合わず、「小説はやっぱり三人称だぜ」的な考え方でずっといたのですが、一気に考え方が変わりました。具体的には、

「三人称風の一人称もありなんじゃないか?」

これを読んでまず思ったことです。私の知っている一人称型の小説は、どこか情緒過多で、心理面を重視したものばかりだと思っていたのですが、これ完全に勘違いでした。そう、主人公をちょっと冷めた性格にするだけで、この問題は解決できてしまうのです。ライトノベルの主人公に冷静な性格のキャラが多い理由に今頃になって気づきました。マヌケとしか言いようがありません。

そしてそれ以上に私の目を引いたのは、「ちょっと考えれば強引だとわかっているのに、魅力的すぎてつい受け入れてしまう」ストーリーの展開です。未読の方で楽しみにされている方がいるとアレなので細かいことは書きませんが、とりあえず586は時間ネタに異様に弱いことが判明*1しました。それはもう簡単に倒せるぐらい。

「本来ではあり得ないもの・あり得ないこと」を最初から「あり得るんだッ」と言わんばかりの勢いでさも当然のように登場させ、読者が疑問を感じる隙を一切与えない。そして、力ずくとも言える手法で盛り込んだ設定を責任を持って全力で生かし、ストーリーを展開してゆく。私が読んだときも、疑問を感じる隙は一切ありませんでした。それ以上にその設定が魅力的なものばかりだったのです。

どうしてライトノベルが読まれ、多くの人に愛されているか。その理由の一端を知った気がします。

で、思うのが私の書いている「Enable」との違い。「Enable」の場合、とにかく「辻褄が合うこと」を前提にストーリーが組み上げられているので、いい言い方をすると現実味があるということになり、悪い言い方をすると現実的ですごくつまらないかもしれないということになってしまうのです。

いや、自信をなくしたわけではありません。「Enable」には「Enable」なりの良さやおもしろさもあると思っていますし、私はそれを表現するために日々努力しています。ただ、言ってしまえば荒唐無稽でありながら、それを突っ込ませないほどの魅力にあふれた設定を持った小説を書いてみたいという、非常にやっかいな欲望に悩まされてしまったのです。

読んだ直後は思わず人を一人空高くから降らせてみるかとか、タイムスリップネタを入れようかとか、ゴミ捨て場にとんでもないものを捨てておいて誰かに拾わせてみるかなどといった「Enable」においては自殺行為としか言いようのないネタばかり浮かんできて、鎮めるのが大変でした。


……鎮める方法を見つけましたがね!(無駄に意味深)

*1:詳細は書きませんが、一番最後に入っている話が一番来ました。