Mortal Kombat II VS. Mortal Kombat:Shaolin Monks

from:http://www.gamefaqs.com/console/xbox/file/925008/44618

今日はちょっと趣向を変えて、少し前にトリビアで紹介したMK2とMK:Shaolin Monksのストーリー展開の違いについて要約してみようと思います。細かいところまで網羅された素晴らしいテキストを書かれたPsychochronicさんに心から感謝いたします(`・ω・´)

クン・ラオの性格
これは以前にも書いたような記憶があるけれども、ファンにとっては相当重要な項目だったようなので再度掲載。原作にあたるMK2において、クン・ラオは聡明で沈着冷静な武術家として描写されており、モータルコンバット*1のチャンピオンにも興味は無かったはずだが、Shaolin Monksにおいてはキャラクターが180度代わり、傲慢で喧嘩っ早く、チャンピオンとなったリュウ・カンに嫉妬しているという描写がなされた。これにはかなり多くのファンが怒ったようで、Wikipediaにもその旨が記載されている。
クン・ラオの登場時期
オープニングシーケンスにおいて、Mask Guardに変装していたクン・ラオが登場するシーンがあるものの、クン・ラオは初代モータルコンバットには参加しておらず、このタイミングでの登場は有り得ない。Shaolin Monksにおいてはシャン・ツンの島に潜伏していたということになっているのだが、これだと原作MK2と辻褄が合わない。
Wu Shi Academyへの攻撃
MK2のリュウ・カンのプロフィールには、シャン・ツンがバラカ率いるTarkataをWu Shi Academyに放ったことに気づいておらず、初代モータルコンバットからの帰還後に崩壊に気づくという旨が記載されているが、Shaolin Monksにおいては道中でWu Shi Academyに立ち寄り、Tarkataらの攻撃を食い止めている。
サブ・ゼロ(兄)の生死
サブ・ゼロ(兄)は初代モータルコンバットにおいてスコーピオンに殺害されたことになっているが、オープニングシーケンスにおいてサブ・ゼロが殺害された描写は無く、スコーピオンと共に健在である。が、その後の展開を考えると……
キタナの置かれた状況
MK2においてのキタナは自身の出生を知らず、後に少しずつ自分の過去の真実を知り、シャオ・カーンに反旗を翻すというストーリー展開であったが、Shaolin Monksにおいては初めからすべての事実を知っており、ジェイドと共に洗脳されてミレーナと行動を共にしていた。これはクン・ラオの性格改変並みに叩かれたようである。中には「キタナのストーリーの魅力が半減する」と怒り心頭の書き込みも……
ミレーナとリープテイル
キタナは作中で「ミレーナとリープテイルは組んでいる」と話すが、実際にミレーナと組んでいるのはバラカの方である。コミック版ではミレーナとリープテイルが組んでいたと書かれているので、間違ってこちらの設定が採用されたか、あるいは意図的にこちらの設定を採用したかのどちらかであると考えられる。
サブ・ゼロ(兄)の任務遂行状況
サブ・ゼロ(兄)には「シャン・ツンの暗殺」という任務が与えられていたが、これについての言及が一切無いままサブ・ゼロ(弟)が登場している。厄介なことに作中にヌーブ・サイボットが登場しているので、プレイヤーと行動を共にするサブ・ゼロは間違いなく弟のほうである。
ゴローの生死
ゴローは初代モータルコンバットにおいて死亡したとされていたが、Shaolin Monksでは生存してアウト・ワールドまで逃げ延び、その後Wastelandにて再び戦うこととなる。MK2のオープニングのテキストから考えると、MK2の展開を根底から否定する違いである。
リープテイルの発言
リープテイルはThe Pitで初めて出会った際に「俺はシャン・ツンに仕えている訳ではない」と発言するが、MK1〜MK2におけるリープテイルは、シャン・ツンに仕える忠実なボディーガードであった。あからさまな否定。
サブ・ゼロ(弟)とヌーブ・サイボット
これまでの設定では、サブ・ゼロ(弟)は兄の消息について知らず、兄がヌーブ・サイボットであることに気づいたのは、互いに初めて対面したMK:Deceptionにおいてであった。しかし、Shaolin Monksにおいては初めからヌーブ・サイボットが兄であることに気づいており、彼を救い出そうとしている描写がある。
ミレーナの出生
Shaolin Monksにおいてキタナはミレーナがシャオ・カーンによって作られたと発言しているが、MK2においてはシャン・ツンがミレーナを作ったと書かれている。
シャオ・カーンの持ち技
シャオ・カーンは作中において、緑の飛び道具と対空タックルを使ってくるが、これらはMK3で追加された技であり、MK2では使用できない技である。
エンディングのクァン・チー
エンディングでクァン・チーが一瞬だけ登場し、シャオ・カーンの遺体からアミュレットを奪っていくのだが、これは明らかに有り得ない展開である。この段階ではシャオ・カーンもクァン・チーもアミュレットを持っているはずが無く、持っている可能性がある人物を挙げるとすれば、シノックからアミュレットを奪い取ったサブ・ゼロ(兄)だけである。これも大分論争の的になった模様。
シャン・ツンの若返り
MK2ではシャオ・カーンがシャン・ツンに新たな肉体と魂を与えたと書かれていたが、Shaolin Monksにおいては、シャン・ツンが自らSoul Tombsに赴き、そこで魂を吸収して若返っている。ゴローの生死とあわせて、MK2の基本的なバックストーリーを否定するものである。
スコーピオンとの戦い
作中ではリュウ・カンとクン・ラオがNetherrealmにおいてスコーピオンと激しい戦いを繰り広げるのだが、このときのスコーピオンの描写は、あたかも彼が悪役(evil)側に所属しているかのようである。基本的にスコーピオンは中立的な立場にいるため、これについてはファンからかなり激しい非難が浴びせられた模様。
Warrior Shrineの所在地
MK1〜MK2においては、Warrior Shrineはシャン・ツンの島にあったのだが、Shaolin MonksにおいてはWu Shi Academyのすぐ近くに変更されている。
The Armoryの所在地
MKTにおいて、The ArmoryはGoro's Lairの上に位置していたが、Shaolin MonksではSoul Tombsの近くに変更されている。
ジャックスとアウト・ワールド
MK3までジャックスにはアウト・ワールドへ入るための手段が無かったはずなのだが、Shaolin Monksにおいては何事も無かったかのように普通に進入している。
ポータルを作る能力
ポータルを生成する能力は神等のごく限られた存在のみにあったはずだが、作中ではシャン・ツンが普通にアウト・ワールドへのポータルを開いている。
リープテイルの容姿
リープテイルの爬虫類のような容姿はMK4になって姿を見せたはずだが、知っての通り、Shaolin Monksでは常に亜人の形で行動している。
サブ・ゼロの顔の傷
作中、サブ・ゼロの顔の傷はクン・ラオの帽子によって付けられたと描写されているが、MK2においてはスコーピオンに付けられたものであると説明されていた。人気キャラが絡んでいるためかこれも議論の的になった模様。
スコーピオンの持ち技
オープニングシーケンスにおいて、スコーピオンはサブ・ゼロに対してバックフリップ・キックを繰り出しているが、これはMK:DAで追加された技であり、MK2では使用できない技である。
各キャラクターの死亡
カノウ・ジェイド・リープテイル・バラカ・ゴローの死亡に関しては、いずれも正史とは異なっており、揃って論争の的となっている。

書いてみて思ったんですが、なんとなくMidwayとしてはMK:Shaolin Monksはあくまでもフィクション*2として扱いたい節が感じられます。正史でのしがらみを取っ払って、話的に一番盛り上がるタイミングでFATALITYを決めさせてみたり、これまでできなかった展開(サブ・ゼロ(弟)がヌーブ・サイボットを追いかける、等)をやりたかったのではないかな、と思います。つまりは、正史としてはMK1〜MK2〜MK3になり、MK:Shaolin Monksについてはある種の「if」として見れば問題ないのでは、という結論に達するわけです。

ゲーム的には見ているだけで面白そうですし、ゲーム性に関しては文句の付け所がないと評判ですから、あまり細かいことを気にせずに遊ぶのが一番だと思います。つーか遊びたい。すげー遊びたくて仕方ない。

*1:トーナメントとしての意味合いでの

*2:本来の意味ではなくて、「モータルコンバット」という世界におけるフィクションの意味